心理研究所「しゅはり」理念

 精神療法、心理療法について学ぼうと思ったときに、“出会い”ってとても大切です。どの大学でどんな先輩や指導教官にあたるのか、どんな本を手にとるのか、誰かに勧められた、インターネットで、研修で、クライエントから、いろいろな形で出会っていると思います。

 “出会った”精神療法的アプローチを学ぶにあたり、それぞれの流派の教科書通りの基本的な構造や治療的主義を型通りに守ることで、それぞれに基本的なアプローチが身についていくことでしょう。

 ところが、自分の学んだ基本的なアプローチだけでは、目の前のクライエントには太刀打ちできない事態が頻繁に起こってきます。そこで、自分なりに試行錯誤して、ときにほかの流派に目移りしながら、型を破って、クライエントにより適切にあわせた関係性へと発展していきます。

 型通りと型破りを繰り返し、さらに時代の背景、新しい知見、また別の“出会い”を続けていくなかで、自分なりの、基本的なアプローチを離れた新しい治療的関係性の知恵を構築していくことでしょう。

 私が、精神療法を学んでいくなかでは、専門家の先生がたは、ときに議論をかわし、ときに相手を批判し、同じ流派のなかでも自分の優位性を強く主張している場面をみかけていました。一方で、達人たちの言葉はどの流派でも、目の前にある真摯に向き合う関係性と、人としての苦悩と思いやりに満ちており、流派の枠や型を超えて共通していくものでした。

 より多くの人が集まりやすい都市部での研鑽、研修会、スーパービジョンは機会をとらえやすいかもしれませんが、千葉でその人脈を得ることはなかなか難しいことも気にかかっていました。特定の専門領域の指導資格をもっているものが集まっているわけではないですが、一緒に切磋琢磨する、コンサルテーションとして議論する、違う型に触れていく、そういう学ぶことを楽しめる機会をつくるために、心理研究所「しゅはり」を立ち上げました。 

 現在は個別の精神療法やカウンセリングについては対応しておりませんが、プログラムなどはこれから豊かにしていこうと努力していきますので、またホームページをのぞきにいらしてください。。

 医療法人学而会は論語の「学びて時に之を習ふ、亦説ばしからずや」からとっています。みなさまとより多くの学びを得る、出会いを楽しみにしております。

          心理研究所「しゅはり」 所長 松木悟志